北九州市立大学同窓会

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平成22年度北九州市立大学公開講座 (同窓会員による講演)
基本テーマ 「北九州市立大学をバネに活躍する人々」

「北九州市立大学をバネに活躍する人々」の紹介
  コーディネーター  山ア 勇治(S45・商学部経済学科卒/経済学部教授)
              (現・北九州市立大学特任教授)
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<< はじめに >>
 2010年9月25日から12月18日まで「北九州市立大学をバネに活躍する人々」を基本テーマに市民公開講座を開きました。
 好評に応えて、同窓会としても広く同窓生に講演内容を広く知っていただくために、同窓会のホームページに講義内容を掲載することとなりました。そこで、コーディネーターとして、第1に公開講座開講の趣旨、第2に公開講座の講師名と講義テーマ、第3にコーディネーターによる講義のコメント、第4に講義内容を記述しています。ご笑覧いただければ幸甚です。

(1)公開講座開講の趣旨
 北九州市立大学は開学65年目を迎えました。開学以来、5万2000人の本学卒業生は全国津々浦々のみならず、世界各地でさまざまな重要な分野で活躍しています。
 開学65年目を一つの契機として、本学をバネに活躍している人々が学生時代、母校で何を学び、それらが現在どのように役立っているのかを大いに語ってもらいたいと、企画しました。
 その目的は第1に、本学を物心両面から65年間にわたって支えていただいている北九州市民に対して、本学卒業生の各界での活躍ぶりを知っていただき、北九州市民の皆様が「北九州市立大学を作ってよかった」と言っていだきたいからです。
 第2には、歴史的な就職難にあえいでいる本学の在校生に対して、先輩の活躍ぶりを知ることによって学生生活の発奮材料にしてもらいたいからです。
 講師は、財界、政界、教育界、マスコミ・ジャーナリスト界、芸術界などで活躍されている以下の先輩たちです。人選にあたり、コーディネーターの特権を最大限に活用して私が勝手に選びました。

(2)講師および講義テーマ

9月25日  「わが記者人生に悔いはなし」  西日本新聞社 元社会部長 田村 允雄氏

10月9日  「冬山遭難から俳優を経て国会議員へ」  衆議院議員 横光 克彦氏

10月16日 「レクチャー&ピアノコンサート」 ジュリアード音楽院出身 山本 百合子さん

10月30日 「教育と聖書にかけた半世紀」   西南女学院大学理事長 田中 綜二氏

11月6日  「母校ESS魂の国際交渉力」  住友林業(株) 代表取締役会長 矢野 龍氏

11月13日 「門司港レトロを立ち上げた男」  北九州市 元消防局長 木戸 一雄氏

11月27日 「得をする英語の学び方と教授法」  北九州市立大学名誉教授 乗口 眞一郎氏

12月4日  「中国での女優として活躍談義」   女優 松峰 莉璃さん

12月11日 「地元金融界の現状とその役割」 
            福岡ひびき信用金庫代表理事会長  古川 育史氏

12月18日 「北九州市立大学の現状と将来を語る」 
            前同窓会長 北九州市 元収入役 山下 建治氏

(3)コ ーディネターによる各講師の講義内容についてのコメント
 田村允雄氏は、新聞社の社会部記者として、市民の視線から正義を追求された記者人生でした。とくに福岡県の公金不正や小倉の病院長殺害事件の究明は、警察の力でも及ばない独自の「調査報道」を貫きました。同窓会の会長を2010年5月から引き受けられた田村氏は、講義を通じて、同窓会員の目線でリーダーシップを発揮されること間違いなしの、頼もしい人物像を作り上げました。

 横光克彦氏は、学生時代は山岳部に所属し、北アルプス冬山登山中に友人2人の遭難死に直面しました。この悲しい事故を契機に、死と直面し、生きる意味を考え、情熱を傾けることのできる職業は俳優であると、杉村春子座長の「文芸座」に入門しました。中学生日記の教師役などを演じているうちに、社会問題に関心を寄せ、ついに国会議員になったというドラマティックなお話はとても胸をわくわくさせるものでした。

 山本百合子さんは、10年前、本学でレクチャー付きのピアノコンサート方式を編み出 されて、全国で活躍中の、ジュリアード音楽院出身のピアニストです。10年ぶりのピ アノ演奏会は、300名の聴衆を魅了させました。本市内の大学で音楽を教えているAさんは、感激の余り、胸が震えて止まらなかったと感想を述べていました。

 田中綜二氏は、本学卒業後、西南女学院に一事務職員として就職され、現在は、理事長 としてご活躍中です。短期大学を四年制大学に昇格させて、北九州市内外の女子教育に情熱を傾けてこられました。当時の北九州大学は雨漏りのするオンボロ校舎だったが、教育は充実しており、「破れ饅頭」のような大学であった、と語られる中に、この先輩こそ教育者として大切な素質を持っておられると思いました。

 矢野 龍氏は、本学のESSで鍛えた英語力を駆使して、アメリカの大原生林で森林伐採中に、住友林業の社長にその才能を見い出され、あれよあれよという間に社長に抜擢され、社長10年を務め上げ、会長に納まられている。本学自慢の出世男であります。留学生のために学生寮を建てよう、と言っていただき、心強く思いました。

 木戸一雄氏は、本学の野球部を「神宮の森」へ2度も連れて行った、当時のキャプテンです。卒業後は、北九州市役所に入職し、労働組合幹部を務めました。本市当局との交渉力は抜群で、管理職になるや、頓挫していた門司港レトロ計画を北九州市の観光の目玉へと発展させていきます。講義内容が豊富で、90分があっという間に過ぎていき、 本当に短く感じました。

 乗口眞一郎氏は、英語教育歴40年の経験を活かして英語の上達方法を、分り易く解説されました。参加したみなさんは誰でも、もっと早く聞きけば良かったと後悔したはずです。後悔先に立たず、とは良く言ったもので、ため息をつく間もなく、ご自身のご努力がいかに大変であったのかを聞くにおよんで、私の貧しい英語に納得した次第でした。

 松峰莉璃さんは、中国で大活躍中の若い女優です。北京からわざわざ馳せ参じていただきました。本学の中国学科の板谷ゼミで演劇に魅せられ、高じて北京技芸学院の大学院に留学し、修士号取得後は、中国人女優と競い、女優の座を得たという。5年前、すらりと伸びた美形の松峰莉璃さんと北京で出会って虜になってしまい、是非にとお願いしたことが、本公開講座の成功の秘訣であります。

 古川育史氏は、本学の後輩を福岡ひびき信用金庫に毎年10名前後採用していただく、とても頼りになる大先輩です。大学の先生よろしく、膨大な資料を基に戦後日本経済論から、バブル経済崩壊の顛末を講義され、経済学が専門の私は肩身の狭い思いをしました。 温厚な語り口調からとても北九州市内の中小零細企業の、生命に金融と言う血液を与えている信用金庫のトップとは思えませんでした。古川氏が存在される限り、本学の後輩と中小零細企業は救われます。

 山下建治氏は、トリにふさわしい、ユーモアと機知に富んだ講義をされました。駅伝の選手であったこと、転じて山岳部で活躍されたこと、北九州市役所に入職後は、市長の次のポストである収入役を務められたこと、を淡々と語られました。特に長い市役所勤務中に、谷伍平市長、末吉興一市長の2人の市長に仕えられたという稀有な体験の持ち主でありました。誰も語られない両市長比較論は別の機会を作って講義をあらためてお願いしたいほどでした。今回の公開講座のため上京して、大物先輩招聘にご尽力いただきました。山下氏なしでは、この市民公開講座は開くことは出来ませんでした。あらためて山下氏の存在の大きさを認識した次第です。

 先輩諸氏の講義内容を、ぜひご覧ください。よろしくお願いします。

 10回の講義を終えて、コーディネーターの感想は「先輩たちの経歴を調べているうちに、多士済済であること」を再認識したことです。
 この種の公開講座を何回も開くことが出来ると確信しました。それが分ったことが貴重な財産でした。近いうちに、機会を作って第2回の「北九州市立大学をバネに活躍する人々」を企画したいと思っています。
 本当にありがとうございました。

 最後に、各講師の講義の録音筆記起しは、ご多忙の中、同窓会事務局の上村美佐子様のご好意に頼りました。あらためて感謝申し上げます。