北九州市立大学同窓会

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支部組織

高知支部

我が高知

 南国土佐。皆さんは高知県にどのようなイメージをお持ちですか? 私の見た高知県の特性を紹介する。農林水産業など第一次産業が主たる産業であり、第二次産業が少なく、第三次産業、特に飲食業、中でも喫茶店の多さには驚く。住宅街の中にまで数多くある。しかし、そ れらの喫茶店も最近では消費者の嗜好の変化やファストフード店の進出によりかなり店舗数が減少している。

 土佐人を見ていると、南国特有のおおらかで、飾り気がなく「明日は明日の風が吹く」的な気楽な県民性を折にふれて感じる。

 私自身、昭和46年、福岡から当地に移り住み、それから29年、今ではすっかり高知県人になった。気候温暖、冬でもコートは要らず、人情に厚く、住み心地の良さは 最高で、何とも幸せ。「人生至る所に青山あり」の心境である。

 しかし、一見、のんきに見える我が高知県も幕末から昭和にかけて数多くの偉人、賢人を輩出している。少し列記すると、維新の志士・坂本龍馬、中岡慎太郎、ジョン万こと中浜万次郎、明治から昭和にかけての政治家・ 板垣退助、浜口雄幸、吉田茂、植物学者の牧野富太郎、物理学者で随筆家の寺田寅彦、明治の実業家で政商といわれ天下の三菱の基礎をつくった岩崎弥太郎等々、近代日本発展のためにその変革期に多くの功績を残している。激動の時代、高知を離れ、広く日本のため活躍した先人に深く敬意を払いたい。

 県外から高知に移り住み、私が見た高知県人の特性として、常々、感じるのは、高知の人が県外者を他人として見ないこと、友達感覚で横並びで見ることである。相手が上司でも、社会的地位が高くても、金持ちでも関係ない、友達なんだという感じ。言葉遣いも、態度も相手によって変えない。敬語は使えないのか使わない。私は最初、高知に来た時、なんと礼儀知らずの無礼な人間が多いことかと憤慨したが、年とともに、これが高知県人気質なんだと最近ではさほど気にならなくなった。

 また、高知県民の特性ともいえる今一つ例をあげると、高知県知事の橋本大二郎氏。今から9年前、高知県とは何の関係もない橋本氏に対し、組織も何も持たない県民の有志が無謀にも高知県知事になってほしいとお願いし、それが実現した。選挙の相手は、長年、高知県副知事を務め、保守本流の高知県で前知事をはじめ、多くの企業、団体が推薦する有力者。しかし、結果は橋本氏の圧倒的な勝利に終わった。高知県民、特に女性の草の根の力、自由民権発祥の地、土佐人の発想と行動力が夢を 実現させたのである。昨年暮れ、橋本氏は3選を果たしたが、県民の包容力の大きさを感じる。

 三次産業の労働者数が県内の全労働者の半数を超える 高知県。二次産業が少なく、県外の都市がますます近代化され、便利になり、結果的に公害問題等に苦しむ中、総論賛成、各論反対、「イゴッソ」(土佐の頑固者)的な県民性のおかげで開発が遅れたことにより、少々、不便さは感じるものの、多くの自然が残っている高知県の良さを本当に感謝している。

 最近、全国区的になってきた「高知よさこい祭り」も、そのリズムはブラジルのサンバと「南国土佐をあとにして」の日本調との合体が基本にあり、かつて日本になかった新しいお祭りのリズムと踊りが誕生。今や北海道でも「よさこいソーラン節」として、本家・高知を凌ぐ勢いである。これも自由奔放で、旧来の型にとらわれない土佐人の面目躍如といったところだと思う。